Shooters FC
We are crazy about football! No one can stop us! (日本人サッカーチーム in 香港)
2014-15 Legal League Div 2 第9節 vs Corinthians 2014.11.29 @Kowloon Tsai SG
2014年12月07日 (日) 02:09 | 編集
Kick off: 15:00
気温: 20℃
湿度: 63%
天気: 晴

〈布陣〉
          津田哲平
         (井頭英信)

    杉山俊哉  西井敏之  小林佳樹
   (内野航平)      (間野泰光)
               (石黒敬司)

       名取一樹  齋藤 弘
      (井川洋一)

 鈴木 周  吉泉光一  星 哲史  吉村康弘
                 (今井雄一郎)
          益山秀人

〈レポート〉
この素晴らしい勝利をレポートできる幸運に感謝の念を禁じ得ません。チームメイト並びに各選手のご家族を含め関係者の皆様に心から御礼申し上げます。(以下敬称略)

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曇り空の秋を感じる香港の昼下がり、筆者の知るかぎり初めての使用となるここKowloon Tsai Sports Groundでは、観客席を備えた陸上競技用トラックに囲まれ、整備が行き届いた天然芝のピッチが我々を待っていた。

この日の対戦相手は宿敵Corinthians。西洋人中心のチームでSFCが苦手とするタイプかもしれない。昨季の対戦成績は1勝1敗、最終成績はSFCのひとつ上の7位だ。最初の対戦では、SFC側は試合開始5分前に11人が集まるという状況の中、セットプレーで2失点、急性胃腸炎をおして出場した井川がミドルで一矢を報いるも1-2であえなく敗戦。一方、後半の対戦では20名を超える選手たちが集い、S、もといPこと現副主将兼テクニカルコーチ齋藤の2得点、そして豊富なベンチを使った交代策で試合をコントロールし、2-1でシーズン3連勝を果たした。

現在、SFCが8試合、Corinthiansが9試合を消化し勝ち点は同点。得失点差でSFCが5位、相手が6位である。直接対決でどちらが上かはっきりさせる良い機会だろう。わかりやすくていい。

SFCは前節の素晴しい勝利の後、2週間の休養をとり、鋭気に満ちた18人の戦士たちが集結した。一方のCorinthiansには道楽者、放蕩者、金持ちのスポーツマンという意味があるようだが、道楽者はカウチでおとなしくサッカー観戦する方が賢明なことをSFCが教えてあげよう。「Corinthiansの諸君、君たちに今のSFCのモメンタム(編集部注:勢い)は止められまい」と心の中で嘯いてみる。悪いが、今季初の連勝で勢いをつけさせてもらうのは我々SFCだ。

アップを済ませ、先発ポジションと交代の発表、そしてチーム全体の留意事項並びに各ポジション毎のポイントを確認する。その後、チーム全員で円陣を組んで声を出し勝利を誓う。

SFCはコイントスで得た権利をサイドチェンジに行使する。風は横からそよぐ程度で明確な優位性はなかったかもしれないが、相手を自分たちの意向に従わせる行為は、心理的な効果があるのではないか。

開始早々の1分、副主将である齋藤が自らチームに出した指示を率先して実践する。そう、ショートカウンターだ。相手ボランチの緩慢な動きを見逃さず、鋭い寄せからボールを奪取し素早く精確にトップ下へ。これに呼応した西井は既に動き始めている小林を察知しており、ノールックのヒールパスを通す。これは惜しくもオフサイドの判定となったが、周りの連動も含めこれがお手本だと言わんばかりのプレーに全員の攻めのスイッチが入る。

しかし直後の2分、右サイドを攻められ、ペナルティーエリア内でのクリアボールはほぼ真上へ浮き、これが不運にも相手FWに渡る。絶体絶命のピンチ──。だがGK益山が驚異的な反応で至近距離からの一撃を防ぐ。跳ね返ったボールはまたもゴール正面の相手に渡り、誰もが失点を覚悟した。自軍のゴールマウスがやたらと大きく感じ、超至近距離から放たれたシュートに万事休すか……。いや、それでもネットは揺れない。CB吉泉が身を挺した必死の守備を見せたのだ。GKとしての経験と勘、そして熱い闘志のなせる離れ業か。守備陣のスーパープレーの連続で、SFC全員の気持ちが高揚する。

8分、センターサークル付近の相手MFから左サイドに長めのパスが通りそうになるが、鈴木がスライディングで脅威の芽を早めに摘み取る。彼はこの試合を通して、4、5回は敵と交錯したはずだ。“許容しうる冒険”と“救いようのない愚行”。常に攻めの気持ちを持つことは、アドレナリンで麻痺した怖いもの知らずとは一線を画す。格闘家としての日々の鍛錬と毎週の自主練習、そしてJ-Asia参戦でさらに磨きを掛けた彼の“間”をもってして、彼の“冒険”は成功裡に終わった。

15分、再び齋藤のインターセプトから逆襲に転じる。鋭いパスが中央右側に位置する西井にきれいにつながると、齋藤がリターンをもらうべくピッチ中央を駆け上がる。相手DFの注意が齋藤に注がれるなか、会場にいた誰もが齋藤にボールが出ることを考えたのではないか。2人を除いては。

西井の判断は右。そこに駆け上がっていたのは、チーム得点王争い筆頭の津田だ。落ち着いて右足を振り抜き、低い弾道のボールはファーサイドのネットを揺らした。お手本の様な完璧なシュートで素晴しいゴールを称えられた津田は、「いやいや、時間、時間」とタイミングを強調。さすが、今季初参戦ながらスコアリングチャートを牽引する男、違う景色が見えている。

この先制弾がチームに勢いをもたらす一方で、いつもながら簡潔で解りやすい指示を出し続けるディフェンスリーダー星。彼の統率力と個々の集中力により、良い守備が継続できている。そして、その安定感が中盤のボール奪取の一助となる。齋藤の第一波で奪えずとも、自主練習と階段ダッシュでピッチ上の支配領域を広げ続ける主将名取がこれに加わり、連動した第二波、第三波で相手MFを追い詰める。

25分、齋藤から浮き球のフィードが前線へ送られると、これに西井が反応する。相手DFは数的優位に油断したのか、あるいはオフサイドだと判断したのか、球際の寄せが甘い。それを見逃さず弾むボールの軌道を見極めた西井は、GKの位置を見定めて落ち着いて流し込んだ。寡黙な青年の記念すべき今季初得点。ゴールの喜びも、控えめな彼らしく片手を小さく上げるのみ。西井もまた毎週の自主練習の常連。(前節レポによると)サディスティックな齋藤コーチの練習メニューのお陰か、はたまた壁打ち一人練習の賜物か。はにかんだような笑顔が印象的な男のフィニッシュでSFCのリードは2点に広がった。

前半終了間際、井川が相手選手と交錯する。SFC側はフェアプレーに徹するも、2点を追う相手は苛立ちを隠せなくなっている。きな臭い雰囲気が漂ってきた。

迎えたハーフタイムには、「もっと前からいこう」、「ヨッシーのロングボールで相手のラインを下げさせて、出来たスペースを使おう」、「気持ちを切らさない」といったことを確認する。そして全員で円陣を組んで気合を入れ直し、後半に臨んだ。

後半5分、敵陣中央付近でボールを得た小林が相手DF2人の間にドリブルで切れ込み単独突破を図る。最後はDFに阻まれたものの、ゴールへの明確な意志が感じられた勇気あるプレーだった。

その後、流れは徐々に相手に傾いていくが、SFCのDF陣の集中力は高く維持されたままだ。シュート、CK、FKと何度もゴールを脅かされるが、益山、星、吉泉が身を挺してゴールを守る。怒濤の攻撃を凌ぎ切り、満身創痍といった雰囲気の中に怒れる男がいた。吉泉だ。敵の前線になにやら不遜な輩がいる様子だ。この時、自分の近くにも不遜な輩がいることを筆者は気づいていなかった……。

SFCはここで交代策に出る。イヤな流れを変えるには得策だ。早退する星に代わり今井を投入し、CBに吉村、右SBに今井が入る。吉村のとっておきの飛び道具を制限することになるかもしれないが、今井にも果敢なオーバーラップと肉弾戦の強さがある。しかし今日は発動コード(著者注:奥様あるいはお嬢様)が会場におらず、今井スペシャルは封印となるか。

その後、堅守をベースに再びSFCが主導権を握ると、間野、西井、津田らが巧みな連係で好機を演出する場面も。そして20分過ぎ、FWの筆者に浮き玉が入る。「前へ、ボールに軽く触れてさらに前へ。相手DFよりも先んじている、もっと前だ」と心でつぶやきながら前進していると、後方から衝撃を受けてピッチに倒れ込んだ。右頬と右膝が痛む。何やら周りが騒がしい。ようやく立ち上がると、ペナルティースポットの上に毅然と立っている主審が見えた。

「あゝ、PKを取れたのか」。これに対して相手は汚い言葉を使って筆者を罵倒してくる。これにはさすがに黙っていられず言葉を返すと、レフェリーの判断を罵っているのだという。「だったら、最初から直接審判に言えよっ!」。まったく、こういう輩がいるから世の中がなかなか良くならない。ともあれ、キッカーの吉村が銃刀法違反(著者注:主将名取による命名)とも表現できるキャノン砲を備えてスポットへ。地を這う正確なシュートが惚れ惚れするような球筋でゴール右隅に突き刺さる。胸がすく。あー、いつ見ても気持ちいい。今回は間近で見れて迫力満点だった。

同25分、鈴木から中央付近の筆者へパスが渡る。相手MFを背負ったまま鈴木に戻すと見せかけてそのまま前へ。「おおっ~! イギーってあんなことができるのか~!?」と驚く声が聞こえる(著者注:みなさん、そこまで驚かないで下さい)。とにかく前へ向かう筆者は、中央前方に進入する杉山を視界に捉えた。しかし、その先には相手DFがおり、咄嗟に身構えながら出来るだけ早く杉山にパスしようとするも、勢いと精度が伴わない。「ごめん、杉!」と思った刹那、相手右SBの体当たりをまともに受ける。「はうっ」肺の中の空気が強制的に押し出される感覚。ボールを追うために無酸素運動を続けるが、みぞおちにボールが入って息が出来なくなった過去の記憶の恐怖に支配されそうになる。そして、おそるおそる肺に空気を入れてみる。アップで体をぶつける練習をしたお陰か呼吸に問題はない。「OK、まだまだいける!」。「継続は力なり」と話してくれた加藤を目指し、基礎体力の向上を継続している筆者のボディーにこの程度の攻撃でダメージ与えることは出来ない。

同28分、自陣内で敵にFKを与えてしまう。SFCは壁を形成するが相手の一人が割り込んでくる。キッカーは直接狙わず左前方の味方にパス。SFCの対応は遅れ、ボールを受けた相手はカーブをかけたフィニッシュで逆サイドのネットを揺らした。1点を返され、スコアは3-1に。

西洋人との試合では、審判の見えないところで小突き合いがあると、見聞きしたことがある。しかし、敵右SBは何を思ったか、筆者の腹を掴もうと触ってきやがった。病院の診察ならともかく、おっさんに腹を触られるのは不愉快極まりない。「やめろ、俺にそんな趣味はねえ。あいにく俺の鍛えたボディーにお前が掴めるような贅肉はねえ」(著者注:誇張を含む)。動揺を誘っているのか? 無駄だ、そんなものは効かない。こちとら伊達に半世紀近く人間をやってるわけではない。怒りをエネルギーに換えるのみ。この不愉快な行為といい、先ほどの体当たりといい、罵詈雑言といい、まったく辟易するばかりだ。1点を返されてもこの試合は負ける気がしないが、局地戦でもどちらが上かはっきりさせてやろう。欧州ではマイナス金利が話題になったが、ここは世界有数の金融都市、香港だ。借りたものにはきっちり金利を乗せて返すのが流儀だ。

その後、当の相手右SBがボールを後逸。筆者が左肩でプレッシャーを与えると相手は一度の接触でバランスを崩し、あっけなく転倒。「おいおい、ちょっと待て。『簡単に倒れやがって!』と罵倒してきたのはお前の方だっただろう。なんだ、その体たらくは」。案の定、彼は起き上がりながら罵詈雑言を並べ立ててくる。FKをもらえたのだからいいだろう。日本人を相手に 『倍返し』(著者注:古っ)されなかっただけでもありがたいと思って貰いたいものだ。

筆者自身、珍しく好戦的になっている自分の反応が興味深い。そこへ「イギー、やめとけ」とばかりに間に入って来たのは主将名取だった。「ほう。さすがキャプテン。確かに相手に合わせるのはいただけないな」と妙に感心してその場を譲り、遠巻きに眺めることに決めた筆者。場を収めようと入って来たにしては、かなり興奮した様子のやり取りではあったが……(著者注:実際は仲裁ではなく名取の個人的な鬱憤をここで晴らすのが目的だったらしい)。

荒れ気味の試合終盤、SFCは攻撃の手を緩めない。左MFの副主将内野がドリブルで敵陣深くまで侵入。「うっこー、後ろについたぞ!」。これで敵DFは筆者の存在も無視できない。ここで内野の判断は自身でのドリブル突破。「いい判断だ!」と皆が思ったに違いないが、その瞬間、「えっ、デカっ!!」。ゴールへの強固な意志のせいか、蹴り出しが強過ぎたようだ。その距離は杉山かKwan並みの加速をもってしてもぎりぎりだったか。結果、ボールははゴールラインを割ることになったが、攻め続ける気持ちが切れていないのがいい(主将注:前夜のDJ、お疲れ! FB経由でバレてんぞ!)

SFCは最後まで自分たちのペースで試合を運ぶ。気持ちは熱くも淡々と試合を進めるのみ。敵は時間稼ぎだと騒ぎ立て審判にも抗議しているが我々は関知しない。「プレーでも勝ってるぞぉっ!」と激を飛ばす井川。そうだ、最後までサッカーで勝負だ。これは香港での外食じゃない。余った体力をTake awayしても意味がない。力のかぎりボールを追い、ゴールを目指すSFCの選手たち。

そしてついに試合終了の笛が鳴る。筆者は勝利の雄叫びを禁じ得なかった。 チームでの勝利に勝る喜びはない。試合中に熱くなりはしたが、相手とも握手で紳士的に健闘を称え合う。例の右SBとも握手を交わした。

試合を通して、全員が走って連動することを実践できていたと感じる。またこの日はショートパスが連続して繋がる場面も多かった。結果を残した攻撃陣と献身的な守備陣、双方の活躍で掴んだ勝利だ。

今季初の連勝だが、勝って兜の緒を締めよ。試合後、いくつかの反省点が指摘された。「失点したことは課題」、「もっともっと前から行きたい」、「逆サイドを使う」などである。筆者個人としては、結果として得られたPKそのものよりも、気持ちを前に向けられたことが大きい。以前ならバックパスを選択していたかもしれない。

「各自が昨季の自分に負けないようにならないかぎり、昨季よりいい結果は得られない』。これは今季開幕前の主将名取からのメールにあった一文である。

今季も折り返しに近づくなか、「今季の自分は昨季の自分を超えているだろうか」、「明日の自分は今日の自分を超えているだろうか」と問うてみる。これは何も、サッカーにかぎった話ではないかもしれない。

サッカーのある香港生活。週末の取っておきの時間。これを極上のものにするために、優先順位を明確に、不摂生をあらため、自分を律する。そして日々の生活にさらなる張りと充実を。

怪我で戦線を離れている工藤や西田の復帰を心待ちにする一方で、今回、週末も忙しい石黒や杉山が5〜6週間ぶりに戦列に加われたことは嬉しいかぎりだ。チームの全員が家庭、職場、地域社会などで責任ある役割を担う立場にあるだろう。それぞれの人生、それぞれの事情がある中で、サッカーへの想いをSFCを通じて紡いでいくリーグ戦の醍醐味。今回都合で参加が叶わなかった選手たちを含めて、より多くの仲間たちと共有できればと願って止まない。

大人になってから患うと症状が重くなる病気があると聞く。筆者の場合は、ここ香港での麻薬中毒のようなサッカーにくびったけの日々だ。症状にようやく気付いた(気付けてよかった)中年男は思う。

「まだ僕にはみんなとサッカーができる場所がある。こんなに嬉しいことはない」

『Point of No Return』 (帰還不能地点)。もう戻れない。サッカーと、そしてSFCと。

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末筆にあたり、最後までお読みいただきありがとうございます。レポートなのか何なのか不明な長文、駄文、申し訳ございません。また一部不適切な表現が含まれているかもしれませんが、何卒ご寛容ください。

最後にもう一言だけ。

「シューターズ最高!!!」

文/イギー


〈試合結果〉
Shooters 3-1 Corinthians
(津田 15分、西井 25分、吉村 57分)

〈今季成績〉
2014-15 Legal League Division 2
5位 勝ち点15 5勝0分4敗 得点14失点8

http://www.legalleague.com.hk/seasons.php

〈今季チーム内ランキング(全公式戦)〉
【得点】
1位 津田哲平 4得点
2位 名取一樹 3得点
   吉村康弘 
4位 新田 悠 1得点
   川端勇介
   今井雄一郎
   西井敏之

【アシスト】
1位 間野泰光 2アシスト
   西井敏之 
   齋藤 弘
4位 Kwan   1アシスト
   小林佳樹
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