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Shooters FC
We are crazy about football! No one can stop us! (日本人サッカーチーム in 香港)
2014-15 Legal League第13節 vs Samurai Blue 2015.1.24 @Kwong Fuk Park
2015年02月01日 (日) 00:00 | 編集
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Kick off: 16:30
気温: 19℃
湿度: 58%
天気: 曇り

〈布陣〉
           井頭英信
          (津田哲平)
          (杉山俊哉)
          (Javeed)

     加藤新竝  井川洋一  間野泰光
    (Kwan)        (二宮義和)
                (内野航平)

        齋藤 弘  名取一樹

  鈴木 周  三竹美彦  吉村康弘  西田耕二
 (垣崎 靖)(田口聖教)(今井雄一郎)(小林佳樹)

           益山秀人 

〈レポート〉
「あなたにとって、フットボールとは?」あるインタビューでそう訊かれたジョゼ・モウリーニョは次のように答えた。「エモーションだ」

 この希代の名将をリスペクトし、時にニックネームに拝借するShooters FCの背番号21も、もし同じ質問をされたら、そう答えるはずだ。彼はこのチームに在籍した約6年間、大いなる感情をもってクラブに関わってきた。今ではここの仲間と味わう勝利に勝る喜びは、ほかに見出すことができないほどに。
 一方で、この男の職業はジャーナリストである。世の事象を見たままに伝えるべきジャーナリズムにおいて、私的な感情は不要とされる。常にニュートラルな立場で公正な報道をする、それが良しとされる世界だ。
 ならばそんな肩書きは、ここでは捨ててしまおう。しばしの別れに立ち会ってくれた多くのチームメイト、ファミリー、教え子の少年たちとの70分間を振り返ると、彼の心は常に動き続けていた。情熱、葛藤、悔恨、諦観、歓喜、安堵、そして切なさ。それらを抜きにこの日を、そしてフットボールそのものを語ることなど、できるわけがないのだから。

 最初に強烈に感じたのは、加藤新竝のキックに込められた想いだった。元々、左足のクロスやフィードに定評はあるが、この日はスワーブの鋭さとボールの勢いが違った。キッカーの気持ちが乗り移った球は、まるで意志を持った生命体のように味方のもとへ向かい、早速、開始3分に喜びをもたらす。誇り高き鬼軍曹・間野泰光が獲得したCKを加藤が蹴ると、インスイングのボールは美しい弧を描いてゴール前に届き、最年長の井頭英信がヘッドで押し込む。謙虚さを失わないスーパービジネスマンの今季初ゴールを、井川洋一は自分のことのように喜んだ。いくつになってもチャレンジを忘れない40台半ばのジェントルマンは翌日、人生初のフルマラソンに出走予定だという。健闘を祈るばかりだ。

 澄んだ心を持つ背番号7のキックの質はその後も一向に落ちない。再び同じような形から、井頭がゴール前の混戦に身体ごとぶつかってネットを揺らしたが、ファウルの判定でノーゴールに。さらに10分には、またも加藤の右CKから井川がDFと競り合いながらヘディングを放つも、ボールは枠を外れていく。「5点取る」と豪語した36歳のMFは、この絶好機を逃したことを悔やんだ。これほどのチャンスはもう訪れないのではないかと。

 その後、日本代表のシャツを着た相手も徐々に攻勢をかけてくる。だが、今季のSFCの好調を支える鉄壁の守備陣は、この日も気迫の寄せと的確なカバーリングで要所を締めた。サムライではなく真の侍・鈴木周が鋭い出足でパスカットすれば、上海から駆けつけてきてくれた鉄人・三竹美彦は相変わらずの安定感を示し、シャイなだけでホントは家でも優しい分析官・西田耕二も相手にしっかりと身体を当てて前を向かせない。そして、最後尾の官能小説家・益山秀人はあやうく同点とされそうな1対1の場面でも、抜群の反射神経でシュートを防いでみせた。さらには、おそらく実際にもキャノン砲を装着しているはずの吉村康弘が、まずはヘディングで相手ゴールを襲う。これまでSFCバロンドールは、クワン・ウォン・シン、井川、越智公大と攻撃的な選手が選出されてきたが、今季は守備陣から初の受賞者が生まれるような気がする。そこに割って入るべく、中盤より前の選手の奮起にも期待したい。

 試合はそのままSFCの1点リードで折り返したが、相手のカウンターに晒された場面もあり、まったく気の抜けない状況だった。「球際にもっと激しくいこう。相手に合わせているようなところがあるので、しっかりプレーをしよう」と頼れる軍師・齋藤弘がその空気を感じ取り、チームメイトに喝を入れる。ピッチの内外でパトロールに精を出す背番号2の存在は、かくも大きいのだ。

 後半の序盤は一進一退の展開となり、まずは相手が右サイドからシュート性のクロスでゴールを襲う。対するSFCは、CB吉村が「ヨウ君!」と最終ラインの裏に抜け出す井川を呼びながら見事なロングフィードを送ったが、わずかに届かずチャンスには至らない。攻守が目まぐるしく変わるなか、今度はサムライ・ブルーが決定機を創出する。32番が巧みなトラップから前を向き、マークを外してGKと1対1のシーンを迎えるも、またしても守護神・益山が見事なダイブで強烈なシュートを阻止。このプレーに勇気づけられたSFCはその4分後に待望の追加点を手にする。

 走り込みの成果が徐々に現れている二宮義和が右サイドからクロスを上げると、逆サイドまで伸びたボールを井川が追う。相手と競り合いながら後方の加藤に預け、手料理で女性を虜にする愛すべき主将・名取一樹を経由して、ボールはオーバーラップしたCB吉村の足下へ。この大砲に時間とスペースを与えれば、ゴールは陥落する。それを再認識させるような重いミドルがネットに突き刺さった。「It’s just for you!!!」アメリカ育ちのヘビータンクから、はなむけの追加点と言葉をもらった井川は鼻の奥にしびれるような感覚を覚えた。そしてあらためて、自分のゴールが生まれなくても、チームが勝利すれば、それだけで心から喜べると思えた。
 ただ、それはある種の諦めでもあるのか。実際、「このリードを守るべく、低めの位置で守備に徹しようか」と考えていたのも事実だ。しかし、「ヨウさん、戻ってこなくていいよ!」と齋藤が背中を押し、モデルと仲良し津田哲平も「オレが競るから、前に走り込んでや!」と激励してくれる。今季はまだ1得点も記録していない21番だが、仲間の期待に応えないのはクールじゃない。高いポジションで、虎視眈々とチャンスを伺うことにした。

 すると、その場面は思いのほかすぐにやってきた。名前の通り「日本代表のようなサッカーを目指している」という対戦相手は、ロングボールに頼らずに後ろから繋いでくるチームだ。しかしながら技術が伴わず、ショートパスが何本も続くことはあまりない。それを知る井川は、相手ボランチにボールが入った瞬間を狙い、トラップミスから転がっていったボールをダイレクトでシュート。完全にミートしたとは言い難いミドルだったが、ボールはGKの脇を抜けてなんとかゴールに収まってくれた。コーチ仲間のモハメド・ジャビードに身体を持ち上げられた時、嬉しさのなかにホッとした気持ちがあったのも事実だ。目標まであと4得点あるにせよ、使命は果たせた。いずれにしても、この時の光景と仲間の祝福はきっと忘れない。

 その後、井川のアーリークロスから、センスに溢れるレフティ・杉山俊哉がダイレクトボレーを放つが惜しくも枠の外へ。さらにはFKのこぼれ球をチーム一のテクニシャン・クワンが落とし、シェイプアップを誓う内野航平がダイレクトでシュートを撃つもボール一個分、ポストの脇へ飛んでいった。「決められなくて悔しい。これからはどんどん狙っていくよ」と試合後に語った18番の今後に期待しよう。
 終盤には、心優しき都会の放浪者・小林佳樹がゴールを狙い、雄弁な勝負師・田口聖教と幻のフォトジェニック賞を獲得した今井雄一郎が堅実な守りを見せ、今後のSFCの核となるはずの垣崎靖が高いスキルを披露する。ベンチでは、捻挫した足を抱えながら明日のレースを控える西井敏之や、熱きハートに自ら火傷することもある吉泉光一が、出場できないにもかかわらず最後まで檄を飛ばしてくれる。

 こんなに最高の仲間たちと同じピッチに立てなくなるのか──。そう思うと、空を見上げることしかできなくなった。

 振り返れば、この6年間には様々な出来事があった。入部半年ほどで主将を任され、それならばとチーム改革に乗り出し、最初は付いてきてくれる人とそうでない人がいた。結果もなかなかともなわなかったが、それでも信念を貫いて幹部を続け、そのチームが今まさに実りの時を迎えようとしている。出来ることなら、せめてあと1、2年ほど、このチームメイトたちとボールを追いかけたかった。香港という土地に未練はないにしても。
 寝不足で走り過ぎたからか、最後は両足をつって、ピッチの外で試合終了の笛を聞いた。3-0の快勝。最高の幕引きである。仲間のもとに戻って、何度も宙に舞い、この愛おしい時間を噛み締めて胸に刻んだ。

 海外の日本人チームであるかぎり、出会いと別れは必然的に訪れる。しかし、ここで培った絆は永遠のものだ。それだけは間違いない。

 みんな、本当にありがとう。誰かのためにやってきたわけじゃないけど、SFCの一員で本当によかった。これからも、この素晴らしいチームを全員の力で維持して、引き続き存分に楽しんでほしい。背番号21は、今後もずっと君たちと共にある。

 さらば、香港。また会おう、SFCの勇士たち。

文/ジョゼ・ヨウリーニョ

photo (1)


〈試合結果〉
Shooters FC 3-0 Samurai Blue
(井頭 4分、吉村 47分、井川 56分)

〈今季成績〉
2014-15 Legal League
3位 勝ち点22 7勝1分4敗 得点20失点10

http://www.legalleague.com.hk/seasons.php

〈今季チーム内ランキング(全公式戦)〉
【得点】
1位 吉村康弘 5得点
2位 津田哲平 4得点
3位 名取一樹 3得点
4位 新田 悠 1得点
   川端勇介
   今井雄一郎
   西井敏之
   間野泰光
   杉山俊哉
   齋藤 弘
   井頭英信
   井川洋一

【アシスト】
1位 間野泰光 2アシスト
   西井敏之 
   齋藤 弘
4位 Kwan   1アシスト
   小林佳樹
   石黒敬司
   吉村康弘
   星 哲史
   加藤新竝
   名取一樹
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